史学研究所が芦屋廃寺跡出土の塼(せん)の三次元データを公開
4月23日、大手前大学史学研究所は、芦屋市国際文化推進課と連携し、最新鋭機器を用いて芦屋廃寺跡で出土した塼(せん)の精密な三次元計測及び三次元データの公開および説明会を行いました。
1.芦屋市廃寺について
芦屋市西山町に所在する7世紀(白鳳時代)に創建された古代寺院。これまで実施してきた発掘調査では大量の瓦が出土しており、寺院建物の一部もみつかっています。当時は、金堂や塔、講堂等の伽藍が整備されていたと考えられます。古代の摂津国莵原郡(西宮市西部から神戸市中央区付近)で唯一の古代寺院で、当地域を代表するものでした。
2.塼(せん)について
塼(せん)とは、粘土を焼いて作った煉瓦の一種で、建物の土台や床、基壇の化粧材などに用いられるものです。方形でタイルのような形状のものが一般的ですが、芦屋廃寺跡の塼は、約36kgの大型で、複数種類の形状のものがあります。中央地域(奈良・大阪)の巨大寺院では、寺院建物の土台となる基壇の外面を切石(きりいし)石材で装飾しています(切石積基壇)。芦屋廃寺出土塼は、そうした切石石材と形が似ており、粘土で模して作ったものと考えられます。このように大型で複雑な形状の塼は他に出土例がなく、特異な製品です。
3.今回の調査の経緯について
今回の塼が出土した芦屋廃寺遺跡第62地点の調査は、平成11年度に阪神・淡路大震災の復興事業に伴う本発掘調査として実施し、寺院建物の基壇や瓦・塼が見つかりました。芦屋市では、震災後、復興調査の報告書刊行に取り組んでおり、この度、発掘調査から26年を経て、ようやく令和7年度に芦屋廃寺遺跡第62地点【遺物編】の報告書を刊行しました。なお、この報告書の刊行で、復興調査の報告書をすべて刊行することができました。
4.三次元計測技術について
大手前大学史学研究所が保有する最新鋭機器を用いて芦屋廃寺跡出土の塼(せん)のレーザ三次元計測およびSfM写真測量(Structure from Motion)を行いました。
説明会では、岡本篤志 准教授による当該器機を用いた塼(せん)の実物のレーザー計測の実演が行われ、塼(せん)に刻まれた小さな文字や記号までが正確に計測されていことに参加者一同驚いていました。また、精密な三次元計測を行ったことで、実物で組み合わせ実験が困難な大型かつ重量のある資料の復元検討を行うことができました。今後も、三次元データを公開することで、更なる調査研究の深化を期待することができます。
(配信元:学園広報)
